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2016.02.13

季節をさかのぼる

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ようやく積雪量が徐々に増えて来た時にいきなり「春一番」、例年より雪の少ない今シーズン「残雪期がどこまでになるか」がいまだ読めないのでタイミング的にはどうかなと思いながらも、ちょいと中締めのお話を。

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年末年始、いつものようにSARC代表の久我氏といろいろな話をした。そこで彼の口から出た台詞・・・

「(山岳滑走ってのは)本来は春から冬にさかのぼっていくのが順番なんですよね」

そう、当たり前のように「深雪」「パウダー」を滑ることに憧れ、その勢いでハイシーズンからこの遊びに飛び込んで行くというのが実情。もちろん自分もそうだった。SKIやSNOWBOARDでのゲレンデ滑走を繰り返し、挙句その延長としてBCを捉えるとこの流れになるのはよくわかる。けれどもよくよく考えてみるとゲレンデではない「自然の山」へのアプローチでは、これは確かに順番が逆であって、夏山から冬山へという順序で事を進めてゆくのが本来の姿なのだろう。登山の場合には技量と安全を考えると誰もが納得のゆく流れなんだけどね。

山に慣れていない段階は、まず山に慣れることが先決。その過程で必然的に安全面に対する知識や様々な経験も積まれてゆく。慌てずにゆっくりと「楽しみながら」だ。BC滑走において、そのステップに位置するのが5月ないしは4月なんだと思う。もちろん山岳エリアの天候は容赦ないので4月だろうが5月だろうが無条件で良しとはしない(念のため)。

ゲレンデ滑走は真冬であっても厳冬期の登山とは別物。山という概念における危険はほとんどない。それどころか、雪質を考慮するとむしろハイシーズンの良い雪で滑った方が初心者でも楽しめる。実はそこに順序の落とし穴があるのかもしれない。繰り返すがゲレンデならば冬→春(春スキー)へという流れとなり、山(山岳)であれば夏山→冬山(厳冬期)へという順番、でもここをつい「BC滑走」では見落としてしまう。

もちろん、春だから危なくない訳ではないがリスクは確実に少ない。リスクが少なければ(つまり独立変数が少なければ)いわゆる「リスク・マネジメント」はし易い(問題を解きやすい)。そう、学校教育で習ったようにね。

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「バックカントリーをしてみたいんです」と、お店を訪れる方々は今も増えています。
ガイドツアーを紹介するのと併せて、安全に対する一つのヒントが先の話にあることも同時に伝える。でも「春山???」という反応が多いですね。そりゃそうだ、「ディープパウダー」「The Day」等の刺激的な言葉からすれば真逆、牧歌的な響きを持つのが春の山。それでも懲りずに「ザラメ」「コーンスノー」さらには「フィルム・クラスト」の楽しさを知ってもらいたい。ステップソールでのTelemarkやSKIそれにSplitboardなんてのもあるんですよ~と、いつもサジェスチョンの繰り返し。もちろん“押し付けたり”なんかはしません。こういう話を頭の片隅にでも残しておいてくれればね、あとはタイミングだけ。

写真のようにステップソールを持ち出して「軽装で登り返して遊ぶ」時期はとても心地がよい。6月→5月→4月→・・・厳冬期というように「季節をさかのぼる」のもお勧めの遊び方です。時間は掛かってしまいますけどね。